日本の年収中央値とは何か
日本の年収中央値とは、全国の労働者の年収を大小に並べたとき、ちょうど真ん中に位置する年収の値のことを指します。
つまり、全体の中央に位置する年収の水準を示す指標であり、平均値とは異なり、極端な高収入者や低収入者の影響を受けにくいという特徴があります。
年収中央値が注目される理由
年収中央値は、経済状況や雇用情勢を把握するための重要な指標の一つです。一般的に、経済が好調であれば、就業機会が増え、賃金水準が上昇するため、年収中央値も上昇傾向にあるとされています。
逆に、不況期には就業機会が減少し、賃金水準が下がるため、年収中央値も低下する傾向があります。また、年収中央値は、社会の格差や所得の偏りなどに関する議論の材料としても活用されています。
しかし、性別や年代、地域によっては、大きな格差があることが指摘されています。今後も、経済状況や労働市場の変化によって、年収中央値に変化が生じることが予想されます。
日本の年収中央値の現状と推移
日本の年収中央値は、厚生労働省が定める「賃金構造基本統計調査」によれば、令和3年(2021年)は260万円〜280万円でした。
日本の年収中央値は、1990年代初頭から2000年代半ばまでは、徐々に上昇していました。しかし、2000年代後半からは、リーマンショックや消費税増税などの影響もあり、一時的に下落しました。
その後、アベノミクスによる経済政策の効果や、少子高齢化に伴う人手不足による賃金上昇などの影響もあり、徐々に回復しています。ただし、依然として格差が存在し、上位層と下位層の間での収入格差が広がっていることが課題となっています。
日本の年収中央値の比較
日本の年収中央値は、国際的に見ると比較的高水準です。ただし、先進国と比較すると、アメリカやドイツ、フランスなどと比べるとやや低い水準にあります。
また、アジア諸国と比較すると、香港やシンガポールなどと比べると高い水準にありますが、韓国や台湾などと比べるとやや低い水準にあります。
日本の年収中央値の性別による違い
2021年時点での日本の年収中央値を男女で見ると、賞与を勘案して男性は303万円〜325万円に対し、女性は238万円〜260万円となっており、性別によって60万円ほどの差があることがわかります。
男女で平均年齢や職種などが異なるため、単純に比較することはできませんが、女性の方が男性よりも低い傾向があります。これには、男女での職業選択の差や出産・育児によるキャリアアップの遅れなどが背景にあげられます。
参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」をもとに計算